ここでは、2025年におけるスペインへの入国・出国・滞在事情をまとめています。あわせてスペイン出張に必要なビザ手続き、滞在に関する情報、帰国時の情報などについて解説します。
2022年10月21日以降、日本を含むEU・シェンゲン域外からの渡航者に対してワクチン接種証明書・PCR陰性証明の提示義務は撤廃され、渡航条件はコロナ禍前の水準に戻っています。ただし、渡航当日に発熱や咳など典型的な症状がある場合は航空会社が搭乗を拒否するケースも報告されているため、体調管理は必須です。
また、パスポートは「シェンゲン域出国予定日+3か月以上」の残存有効期間が義務付けられ、発行から10年以内であることも確認しましょう。シェンゲン協定により、過去180日間で累計90日を超える滞在は不可となるため、過去の欧州出張歴が多い方はあわせて日数計算を行う必要があります。
※参照:JETRO「日本などEU・EFTA以外から入国時の新型コロナ関連の証明書提示義務を解除」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/3492c378525620bb.html)
日本側の水際対策は2023年4月29日に大幅緩和され、スペインからの帰国者もワクチン接種証明・出国前検査いずれも不要となりました。とはいえ到着空港で手続きに時間を取られたくない場合は、検疫・入国審査・税関申告を一括で事前入力できる「Visit Japan Web(VJW)」の利用が便利です。
VJWでファストトラック登録を済ませておけば、QRコードを提示するだけで検疫レーンを短縮でき、税関申告端末でも入力を省略できます。現在も「質問票」の提出義務は残っていますが、VJW経由で代替可能。帰国便の機内で記入用紙に追われることなく、到着後の動線をスムーズにできるのは大きなメリットです。
※参照:在スペイン日本国大使館「日本に帰国、渡航予定の方向け情報」(https://www.es.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000934.html)
スペイン国内では2023年2月8日をもって公共交通機関でのマスク義務が解除され、日常生活はほぼ通常モードに戻っています。例外として、医療機関・薬局・高齢者施設では6歳以上のマスク着用が現在も義務化されているほか、自治州が独自に制限を設ける場合があります。
夏場のメトロ車内や会議室などは混雑・高温で換気が不十分なこともあるため、本人の判断でマスクを携帯しておくと安心です。また、飲食店やスタジアムなど大規模イベント会場では検温ゲートが残存している例もあり、入退場に時間を要することがあるのでスケジュールには余裕を持たせましょう。
※参照:JETRO「日本などEU・EFTA以外から入国時の新型コロナ関連の証明書提示義務を解除」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/3492c378525620bb.html)
スペイン出張は短期ならビザ不要とはいえ、航空券の取得、宿泊施設の確保、保険加入など意外と手続きが多いもの。さらに2026年以降はETIAS申請が事実上の搭乗条件になる見込みで、準備の手間は増える方向にあります。以下の4項目を事前に整理し、出発1か月前を目安にチェックリストを完成させることで、直前のドタバタを回避できるでしょう。
ビザ免除枠(無査証滞在)は90日以内の商用活動をカバーしますが、近隣EU諸国との往復も通算される点を見落としがちです。たとえばフランス→ドイツ→スペインと周遊する場合でも、滞在日数は合算されます。なお2026年導入予定のETIAS(European Travel Information and Authorisation System)は、ウェブまたはスマホアプリでのオンライン申請のみで完結し、審査は通常数分ですが追加書類を求められるケースもあります。
有効期間3年の間にパスポートを更新した場合は再申請が必要となるため注意。就労や長期研修で90日を超える場合は、在日スペイン大使館で「就労ビザ」「学生ビザ」など目的別査証を取得し、雇用主による事前の労働許可申請が必要です。
成田―マドリード直行便(イベリア航空)は14〜16時間前後のフライトで、関西圏からはドバイやヘルシンキ経由が主流で、復路は深夜発便が多いため、到着翌日の業務開始時刻にも気を配りましょう。航空券は出発2〜3か月前から価格が急騰する傾向があるので、半年先まで見据えてアラート設定するのが賢明です。
ホテル選びでは市内中心部のADA(障害者対応)基準やWi‑Fi帯域、早朝チェックインの可否を確認するほか、展示会シーズンは売り切れが早いためキャンセル無料プランを抑えておくとリスク低減になります。BTMツールを利用すれば、上司の承認フローや経費連動まで一括管理でき、急な日程変更でも損失を抑えやすくなります。
スペインの公立病院は高水準ですが、外国人が受診する場合は私立病院に案内されることが多く、救急車の要請だけで数万円、盲腸手術で100万円超という事例も珍しくありません。カード付帯保険だと治療費補償が200万円前後にとどまるケースが多いため、5000万円以上の治療・救援費用と携行品損害、賠償責任をカバーしたビジネス向けプランがおすすめといえるでしょう。
キャッシュレス診療対応かどうか、緊急搬送時の通訳サービスの有無、テレヘルス相談の利用条件も要確認。現地で新型コロナ陽性となった場合の隔離費用(ホテル代・帰国便変更費)の補償が含まれているかも忘れずにチェックしましょう。
必携品としては、パスポート原本とコピー各2部、Eチケット控え、国際ブランドの違うクレジットカード2枚以上、ICチップ付きキャッシュカード、ユーロ現金は100〜200ユーロが目安です。Cタイプ変換プラグとUSB‑C急速充電器があれば小型変圧器は不要な機器も増えています。
長時間フライト対策としてネックピロー、ワイヤレスイヤホン、保湿マスクを機内バッグへ入れておきましょう。その他、目薬や胃腸薬など常備薬を日本語処方箋コピーとともに携帯すると安心です。eSIMやモバイルルーターは街中でのオンライン会議やデータ共有など、PCでの作業が快適になるでしょう。
スペインは先進国の中でも文化・気候・治安が地域ごとに大きく異なり、特に観光都市では軽犯罪が増加傾向です。ここでは代表的な5つのリスクと対策をまとめました。各ポイントを押さえて行動すれば、トラブルを未然に防ぎ、ビジネスに集中できます。
外務省統計によると日本人被害の97%が窃盗によるものです。犯行手口は「背後からバッグのジッパーを開ける」「電車のドア開閉時にスマホを奪う」「路上カフェで椅子背もたれに掛けた上着ポケットから財布を抜く」など多彩です。バッグは身体の前面で抱え、スマホはポケットではなく内ポーチにしまいましょう。
また、不審なぶつかりや親切を装う声掛けがあったら「¡No, gracias!」(結構です)と即答し、距離を取ってください。警察官を名乗る詐欺も増えているので、財布提示を求められたらその場で110番(スペインは091)に電話すると良い牽制になります。
シェンゲン域内を乗り継ぐ場合、最初の到着地で審査・荷物検査が完了します。しかし、入国スタンプが押印されないミスが散見されるため、パスポートチェックを受けたらその場で印影を確認しましょう。
また、税関では10,000ユーロ相当額以上の現金持ち込み・持ち出しや、学術目的を除く象牙製品・動植物標本・歴史的文化財の持ち出しが厳しく制限されています。違反すると罰金だけでなく刑事罰や品物没収の可能性があるので、土産購入時も原材料表示を確認し、少しでも疑問があれば「Objetos a declarar」ゲートで自己申告すると安全です。
カード社会が進む一方、地元バルや個人経営レストランではカード不可のケースが残っています。日本国内の空港両替は手数料が高いため、必要最小限に留め、市内中心地の銀行や大手両替所で追加両替するほうがレートは有利な可能性もあります。
ただし日曜祝日は営業していない店舗が多く、学会や展示会開催週は混雑するので要注意。カード決済ではチップ入力画面が自動表示される場合があり、要らない場合は「0」を手動入力して確定しないと賦課されることがあります。万一の磁気不良に備えApple Payなどモバイル決済も設定しておくと安心度が上がります。
夏季のマドリードは日中40℃を超え、屋内冷房との寒暖差で体調を崩す例が後を絶ちません。硬水に慣れない方はミネラルウォーターを購入し、電解質タブレットでこまめに補給をしましょう。
また、医薬品は処方箋が無ないと購入できない薬も多いため、日本での事前調達が基本です。救急番号は「112」で多言語対応、警察直通は「091」。海外旅行保険付帯アプリに24時間日本語窓口がある場合は、到着後すぐに動作確認しておくと万一の際に慌てずに済むでしょう。
スペインは右側通行で、都市間を結ぶ高速鉄道AVEなどを利用できます。しかし、ストライキ(huelga)が計画的に告示されるため、公式サイトやTwitter公式アカウントのチェックが欠かせません。
タクシーは白地に赤線の公認車が安全で、混乗詐欺を避けるため「TAXI」の緑ランプ点灯車のみ利用しましょう。地下鉄ではピックポケットが「降車客と反対側ドア付近」に陣取る傾向があり、降車時は背後を確認。商談先への移動時はラッシュ時間帯を外し、所要25分の区間でも余裕を見て40分以上前に出発するのがベターです。
航空券・ホテル・保険・経費精算を別々のサイトで管理していると、最終的なコストが見えにくく、領収書の回収漏れや手配担当者の残業など間接コストが増大しがちです。BTM(Business Travel Management)は、これらをクラウド上で一括管理し、出張者ごとの予約制限や承認ルートを自動化できる仕組みです。
担当者はダッシュボードで全行程を可視化でき、緊急時はワンクリックで渡航者の所在地とフライト情報を把握しサポート可能です。為替レート自動反映や法人カード連携で経費精算の手間も軽減できるため、出張が多い企業ほど導入効果が高いと言えるでしょう。
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