実際には行っていない出張の経費や、実際にはかかっていない交通費や宿泊費といった出張費を会社に申請したりすることによって経費や手当を不正に取得しようとする行為をカラ出張と呼んでいます。
このカラ出張は社内規定違反であるとともに、犯罪行為となります。実際にはかかっていない費用を請求してその費用を着服した場合は詐欺罪に相当しますし、領収書を偽造する、領収書の修正をした場合には有印私文書偽造罪や有印私文書変造罪に相当することになります。
こちらの記事では、この「カラ出張」が起きる原因や対策についてまとめていきます。
架空出張申請とは、実際には行っていない出張を報告し、出張の旅費や日当などを不正に受け取ろうとする手口のことです。一般社員の場合、架空の出張を作り上げる行為は難しいのでは、と感じる方も多いでしょう。しかし充分に出張管理を行っていない場合には、こういった不正行為が起こる可能性があります。
交通費の水増しもカラ出張の手法として使われることがあります。移動手段として電車やバスなどを使用する方も多くみられますが、このような交通機関の場合領収書の取得は困難。そのため領収書の提出を免除している企業も多くあります。この点を悪用し、交通費を水増しするという手口です。
例えば、実際に利用したルートよりも高いルートで交通費を申請し、その差額を不正に受け取るといったケースが考えられます。
出張に行く前に支給された新幹線のチケットを払い戻してより安いチケットや交通手段に変更し、その差額を不正に受給するという手口です。新幹線以外にも航空券のチケットなどで行われることもあります。
また、会社からあらかじめチケットを支給されている場合のほかにも、自身で一度チケットを購入し、その領収書を会社に提出した後に払い戻しを行うといった手法が使われる場合もあります。
宿泊先について、まず事前にホテルの予約サイトなどで予約をして領収書を取得した後に安価のホテルへ変更して、不正受給するという方法が用いられることもあります。
ホテルによっては金券付きのプランを用意していることもあります。このようなプランを予約し、金券は自分の懐に入れてしまうという方法です。ホテルから発行される領収書には金券分も含んだ金額が記載されていますので、それぞれの出張者に宿泊先等の手配を任せているという場合には発見が難しいこともあります。
例えば取引先の接待などに使用した飲食費用は接待交際費として経費の申請が可能です。しかし出張中の昼食など仕事と関係のない食事代については経費として申請できません。
しかし経費として申請できない分の領収書をほかの接待交際費に紛れ込ませて申請したりするという方法もよく用いられているようです。
カラ出張の対策として、まずは出張旅費規程をしっかりと整備するという方法が考えられます。この出張旅費規程とは出張に関する旅費などの取り扱いを定めている規程となり、それぞれの会社によって内容が異なります。
出張費に関する規程が明確にされていない場合には、カラ出張を誘発してしまう原因ともなります。そのため、出張旅費の規程を制定したり、すでに規程が用意されている場合には定期的に見直しをかけることも必要になってくるでしょう。
さらに出張申請や承認出張報告書の提出を必須とすることも有効と考えられます。
出張手配システムの導入も、カラ出張の防止につながります。
このシステムを利用すると、出張者の交通機関の利用状況や予約の変更履歴などが管理画面から確認できます。そのため、不正に宿泊先が変更されていたり、交通手段がキャンセルされていたりするといったカラ出張をあらかじめ予防することに活かせるでしょう。
また出張手配システムを導入することにより、旅費精算書の作成業務が不要になったりするなどさまざまなメリットがあります。この出張手配システムはさまざまな会社から提供されています。どのシステムが自社のニーズに合っているのかを確認しながら導入を検討するとよいでしょう。
特徴
各拠点・他部署の利用状況を可視化できるシステム。全社的な支出管理も可能で出張データからコスト削減提案にも対応。
経費負担先変更機能により、「出張者」と「費用を負担する部門」が異なる組織でも安心。部門間の精算トラブルを防ぎ、月次集計や仕訳処理も迅速化。
特徴
海外航空券やホテルを法人割引でリアルタイム予約。現場で空席や価格を即確認可能。最安値や割引運賃を自動で選択でき、自然にコスト削減を実現。
APIを通じて25社の会計ソフトと連携可能。データはCSV形式で出力。海外出張の多通貨精算データも自動取り込み、経理処理のスピードと正確性UP。
特徴
出張経費を部署・役職・プロジェクトごとに可視化。プロジェクト単位の原価計算や収支管理が可能。利益率や予算管理の精度を向上。
会計・経費精算システムとのAPI連携で、案件別の経理処理を自動化。月次決算のスピードアップ、ミス防止、責任範囲の明確化を実現。